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引張接合とは?引張耐力・離間耐力・てこ反力・摩擦接合との違いを解説

この記事の要点

引張接合とは、高力ボルトの締め付け力による材間圧縮力を利用した接合方法の一つです。

高力ボルト軸力に対して平行な方向(引張方向)の応力を伝達します。

引張接合では、荷重が大きくなると接合面が離れる(離間)現象が生じます。

離間しない範囲の耐力を「離間耐力」といい、設計上の上限となります。

摩擦接合との違い(力の伝達方向)とてこ反力の概念が一級建築士試験で頻出のポイント。

この記事では、引張接合とは何か、引張接合はどう計算するのかを整理します。

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引張接合とは、高力ボルトの締め付け力による材間圧縮力を利用した接合方法の1つです。

高力ボルト軸に対して、平行な応力(引張力)が作用する接合部です。

高力ボルトを用いた接合部は、摩擦接合が基本ですが、引張接合という方法も増えています。

今回は、引張接合の意味、強度と離間耐力の考え方、計算法、てこ反力について説明します。


摩擦接合、支圧接合は、下記が参考になります。

摩擦接合と支圧接合の違い


高力ボルトの特徴は、下記が参考になります。

高力ボルトとは?読み方・種類(F10T・S10T)・規格・摩擦接合の特徴

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引張接合とは?

引張接合とは、高力ボルトの軸に対して、平行な応力(引張力)を伝達する接合方法です。下図をみてください。引張接合の一例を示しました。

引張接合

引張接合は、材間圧縮力を利用した接合方法です。高力ボルトに引張力が作用すると、徐々に材間圧縮力が減少します。このとき、高力ボルトには、外力による引張力は一切作用しません。さらに引張力が材間圧縮力を超えると、接合した2枚の板は離れます。


離間すると、引張力は全て高力ボルトに生じます。引張力を増やし続けると、最後は破断します。


なお、離間するまでは引張接合の剛性はとても高いです。

引張接合の強度、離間耐力と計算

摩擦接合では、摩擦面が滑らない限界値(摩擦耐力)が許容耐力の規準です。さらに、最大耐力(終局時)は、摩擦面すべり後の高力ボルトの破断を考慮します。


引張接合では、離間しない限界値を許容耐力の規準と考えることもできます。最大耐力は、離間後の高力ボルトの破断耐力です。


下図をみてください。高力ボルトにより締め付けると、材間に圧縮力が生じます。この圧縮力が摩擦接合、引張接合の抵抗力を生みます。


引張接合を理解して頂くために、簡単なモデルで説明します。下図をみてください。材に圧縮力を加えます。両端に2つのピン支点があります。圧縮力を加えると、支点には圧縮側の反力が生じます。

材間圧縮力と高力ボルト

これが高力ボルトを締めつけた状態です。引張接合では、外力として引張力が伝達されます。材の中央に引張力が作用するとき、支点には引抜き側の反力が生じます。この引抜力が、材間圧縮力を徐々に減らすのです。

引張接合のモデル化

計算過程は省略しますが(鋼構造接合部設計指針などをご確認ください)、離間するときの耐力は下記です。


Pは離間耐力、Niはボルト張力、Kpは板のバネ定数、Kbはボルトのバネ定数です。※鋼構造接合部設計指針とは、下記の書籍です。

鋼構造接合部設計指針

下記も参考になります。

鋼構造接合部設計指針とは?1分でわかる内容、目次、最新版、柱脚

引張接合と、てこ反力

実際の引張接合は、下図のようにT形のプレートを用いて留めます。T形のプレートに引張力が生じるとき、高力ボルトには引抜力が生じますが、両端には圧縮側の反力が生じます。この圧縮側反力を「てこ反力」といいます。

てこ反力とスプリットティー

混同しやすい用語

摩擦接合

高力ボルトの締め付けによる摩擦力でせん断力を伝達する接合方法。

ボルト軸に直交する方向の力を扱う。

引張接合はボルト軸に平行な引張力を材間圧縮力で受け持つのに対して、摩擦接合はボルト軸に直交する方向の力を摩擦力で受け持つ点が異なる。

試験での問われ方|管理人の一言

一級建築士試験では「引張接合は高力ボルト軸に平行な引張力を伝達する」「摩擦接合は軸に直交するせん断力を伝達する」という力の方向の違いがよく問われます。

また、てこ反力(T形プレート使用時に生じる圧縮側反力)の概念も頻出です。

離間耐力の式中のパラメータ(ボルト張力・板とボルトのバネ定数)も確認しておきましょう。(一級建築士 頻出:引張接合(ボルト軸に平行)と摩擦接合(ボルト軸に直交)の力の方向の違いとてこ反力の概念が繰り返し出題)

引張接合を整理した表を示します。

項目引張接合摩擦接合
力の方向ボルト軸に平行(引張力)ボルト軸に直交(せん断力)
抵抗メカニズム材間圧縮力で抵抗摩擦力で抵抗
許容耐力の基準離間耐力(離間しない限界値)摩擦耐力(摩擦面が滑らない限界値)

まとめ

今回は引張接合について説明しました。

意味が理解頂けたと思います。

引張接合は、高力ボルトに対して平行な応力を伝達する接合方法です。

引張接合の仕組みを理解しましょう。

高力ボルト接合には、摩擦接合があります。

摩擦接合の仕組みも理解してくださいね。

離間耐力の計算法、てこ反力も併せて勉強してください。

下記が参考になります。

摩擦接合と支圧接合の違い

高力ボルトとは?読み方・種類(F10T・S10T)・規格・摩擦接合の特徴

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理解度チェック

Q.

引張接合とは?

高力ボルトの締め付け力による材間圧縮力を利用した接合方法で、ボルト軸力に平行な方向(引張方向)の応力を伝達します。

Q.

離間耐力とは?

引張接合で荷重が大きくなると接合面が離れる(離間)ため、離間しない範囲の耐力を離間耐力といい、設計上の上限となります。

ハナダユキヒロ

この記事を書いた人

ハナダユキヒロミツメラボ

設計事務所に7年勤務。

2010年より「建築学生が学ぶ構造力学」を運営(16年以上)。

著書「わかる構造力学」「わかる構造力学(改訂版)」(工学社)。

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