この記事の要点
傾斜地の建築物は構造設計上いくつかの不利な条件があります。地盤が均一でないため基礎の根入れ深さが敷地内で変わることが多く、杭基礎や地盤改良が必要になるケースも少なくありません。その分コストが上乗せされます。
設計事務所で傾斜地の案件を扱ったとき、まず問題になるのは擁壁の存在です。隣地や道路との高低差が大きいと擁壁の構造的な安全性も検討しなければならず、地盤調査の範囲が広くなります。デメリットを正確に把握したうえで施主に説明することが大切です。
主に、地盤の問題により基礎のグレードを高くします。
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傾斜地の建築物は、構造的にいくつかのデメリットがあります。
主に、地盤の問題により基礎のグレードを高くします。
もちろん適切に設計すれば、安全性は問題ないですが、その分コストが大きくなります。
今回は傾斜の建築物のデメリットと、基礎の関係について説明します。
※基礎については下記の記事が参考になります。
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傾斜地は、一般の土地より割安で眺望が良いです。メリットが多いですが、デメリットもあります。下記に整理しました。
・建物に土圧が作用する
・耐震性が低いため、一般の建物よりコストが高くなる
・がけ条例にかかると、建物を崖から一定距離離す
下図をみてください。傾斜地に建物を造るとき、部分的に土圧が作用します。土圧とは、「土による荷重」です。土圧については下記の記事が参考になります。
または擁壁を設けて、土が崩れないよう対処します。
平坦な土地に建てるより、躯体(構造部材)のコストが高くなります。※躯体の意味は、下記の記事が参考になります。
躯体とは?読み方・意味と仕上げとの違い、RC・S・木造それぞれの躯体
傾斜地の中には、軟弱な地盤もあります。よって基礎を適切な支持層まで埋め込む必要があります。下図をみてください。傾斜地に建てると、部分的に基礎を長くする可能性もあるのです。
また傾斜地は、地震や大雨で土砂災害の恐れがあります(傾斜地ごと流されるなど)。建築家の判断だけでなく、「構造設計者」や地盤の専門家による知見が必要です。
もちろん、適切な設計をすれば、耐震性に問題ありませんが、その分コストはかさみます。
がけ条例については後述します。
がけ条例とは、高さ2mを崖に接している建物は、がけから所定の距離離すことを定める条例です。例えば愛知県では、
が義務付けられます。がけ条例は各都道府県で、規準が違います(あくまで条例のため)。まずは、建築予定の敷地が、がけ条例に該当するのか確認したいですね(各都道府県にご確認ください)。
がけ条例に該当すれば、望んでいた位置に建築できない可能性もあります。
混同しやすい用語
土圧
傾斜地や地下室の壁面に土が押す力のこと。
傾斜地では建物の一部に土圧が作用するため、平坦地より構造コストが高くなる原因の一つ。
がけ条例
高さ2mを超える崖に接する建物は崖から所定距離離すことを定めた各都道府県の条例。
建物の配置に制約が生じ、希望位置に建てられないことがある。
擁壁(ようへき)
傾斜地で土が崩れないよう土圧に抵抗するために設ける壁状の構造物。
コンクリート製や石積みなどがあり、傾斜地の建築では必要になることが多い。
傾斜地の建築物のデメリットを整理した表を示します。
| 項目 | 内容 | 備考 |
|---|---|---|
| 土圧の作用 | 建物の一部に土による水平力が作用する | 擁壁が必要な場合あり |
| 基礎コストの増大 | 地盤の支持層まで基礎を深くする必要あり | 平坦地より工事費増大 |
| がけ条例 | 高さ2m超の崖から規定距離以上離す必要あり | 各都道府県の条例による |
傾斜地で建築物を建てる場合、基礎工事のコストが高くなります。
傾斜地の土地が安くても、基礎工事費が普通より高くなるので注意してください。
また、がけ条例にかかる場合は、崖から建物を一定距離離します。
崖条例については、各都道府県にご確認ください。
傾斜地は、土地が割安で、眺望もよいです。
一方で、デメリットが多いことも覚えてくださいね。
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