この記事の要点
ねじりモーメント(トルク)とは部材の軸まわりに生じるモーメントで、単位はN・m(またはkN・m)。力×距離の積で計算し、部材をねじる作用をもたらす。
H形鋼はフランジとウェブからなる開断面のため、閉断面に比べてねじり定数(J)が極端に小さく、ねじりに弱い。実務ではH形鋼への偏心荷重による設計に注意が必要。
【管理人おすすめ!】セットで3割もお得!約1,100語の用語集+476点の図解集セット⇒ 建築構造がわかる基礎用語集&図解集セット
ねじりモーメントとは、部材を「ねじる」ような応力のことです。材軸回りに生じる曲げモーメントが、ねじりモーメントです。特に、鉄骨部材は「ねじりモーメント」に対する抵抗力が無いです。ねじりモーメントが生じない設計を行うべきです。今回はねじりモーメントの意味、公式、単位、トルクとの関係、h鋼のねじりモーメントに対する設計について説明します。※力のモーメントを勉強すると、よりスムーズに理解できます。
力のモーメントってなに?本当にわかるモーメントの意味と計算方法
100円から読める!ネット不要!印刷しても読みやすいPDF記事はこちら⇒ いつでもどこでも読める!広告無し!建築学生が学ぶ構造力学のPDF版の学習記事
ねじりモーメントは、部材を「ねじる」ような応力のことです。下図を見てください。材軸回りに曲げモーメントが生じています。この曲げモーメントは、部材を「曲げる」ではなく、「ねじり」ます。
なお、部材に生じる曲げモーメントは、材軸直交回りに生じる応力です。※材軸、曲げモーメントの意味は、下記の記事が参考になります。
曲げ応力とは?1分でわかる意味、公式と演習問題、単位、曲げ応力度
ねじりモーメントの公式は下記です。
T=P×L
Tはねじりモーメント、Pは荷重、Lは距離です。これは力のモーメントを求める式と同じです。※力のモーメントの意味は、下記の記事が参考になります。
力のモーメントってなに?本当にわかるモーメントの意味と計算方法
では、どういった状況でねじりモーメントが生じるのでしょうか。下図を見てください。梁のスパン中央から片持ち梁が付いています。
片持ち梁は、固定端に鉛直、水平反力、モーメントが生じます。上図では、片持ち梁の端部に生じるモーメントは、梁の中央で「ねじりモーメント」として作用します。建築物の構造設計では「部材にねじりモーメントが生じない」ように計画します。
片持ち梁の反対側に梁を取り付ければ、ねじれは起きません。下記も参考になります。
公式を用いて、ねじりモーメントを求めましょう。下図をみてください。梁の中央に片持ち梁が付く構造です。梁に生じるねじりモーメントを求めてください。
公式は、T=PLでした。
P=10kN
L=2.0m
なので、ねじりモーメントは
T=10×2.0=20.0kNm
です。
ねじりモーメントの単位は、
kN・m
N・m
N・mm
などです。建築では、扱う外力やスパンが大きな値になるので、kNmをよく使います。
ねじりモーメントを、トルクともいいます。高力ボルトを締める時、「トルク」をかけるといいます。また、高力ボルトの締め方にトルクコントロール法があります。トルクコントロール法は、下記の記事が参考になります。
トルクコントロール法とは?1分でわかる意味、手順、トルク値、本締め
H形鋼は、ねじりモーメントが生じないよう設計します。H形鋼だけでなく、鋼材は極端に「ねじり」に対する抵抗が無いからです。原則、ねじりモーメントが生じない構造計画とします。なお、ねじりモーメントを考慮した応力度の算定も可能です。詳細は、下記の記事が参考になります。
鉄筋コンクリート造は、比較的ねじりモーメントに対する抵抗力があります。望ましくないですが、ねじりモーメントを伝達する構造計画も可能です。また、2本打ちのフーチング、片持ちスラブの反対側が吹き抜ける梁など、ねじりモーメントが生じます。
混同しやすい用語
ねじりモーメント(トルク)
部材の材軸まわりに作用するモーメント。偏心した荷重や片持ちスラブ、片側の荷重などで発生する。H形鋼はこれに弱い開断面形状である。
曲げモーメント
部材の材軸に直交する軸まわりに作用するモーメント。梁の曲げ計算で最も頻繁に扱うモーメント。ねじりモーメントと混同しやすいが、作用する軸の方向が根本的に異なる。
ねじりモーメントを整理した表を示します。
| 項目 | 内容 | 備考 |
|---|---|---|
| ねじりモーメントの公式 | T = P × L(荷重×距離) | 力のモーメントと同じ式 |
| H形鋼(開断面) | ねじりに対する抵抗力がほぼない | 偏心荷重を避ける設計が必要 |
| 発生しやすい状況 | 片持ち梁・偏心荷重・片持ちスラブ | 材軸まわりのモーメントとして作用 |
今回はねじりモーメントについて説明しました。意味が理解頂けたと思います。ねじりモーメントは、部材を「ねじる」ような応力です。材軸回りに生じるモーメントです。力のモーメントの意味、求め方を覚えてください。また、ねじりモーメントの公式、H形鋼との関係も理解しましょうね。下記の記事も併せて参考にしてください。
力のモーメントってなに?本当にわかるモーメントの意味と計算方法
【管理人おすすめ!】セットで3割もお得!約1,100語の用語集+476点の図解集セット⇒ 建築構造がわかる基礎用語集&図解集セット
この記事の内容を○×クイズで確認する
この記事で学んだ内容は、無料の○×問題集でも確認できます。
意味を読んで終わりにせず、実際に理解できているかチェックしてみましょう。

試験での問われ方|管理人の一言
建築士試験ではねじりモーメントは主に鉄骨構造の問題で出ます。「H形鋼(開断面)はねじりに弱い」「閉断面(箱形断面)はねじりに強い」という対比が頻出です。また偏心荷重によってねじりモーメントが発生するメカニズムも理解しておくと、実際の構造設計問題に対応しやすくなります。