この記事の要点
既存のコンクリート構造物に新しい設備を取り付けるとき、あと施工アンカーの選択が設計の鍵になる。
接着系は樹脂が硬化することで定着するため、施工精度と養生期間の管理が重要だ。
この記事では接着系アンカーの意味・材質・施工方法・埋込長さの考え方をメカニカルアンカーとの比較で解説する。
アンカー筋の材質はSD295AやSD345の異形鉄筋で、有効埋込み深さ(le=L-da)を確保する必要がある。
【管理人おすすめ!】セットで3割もお得!約1,100語の用語集+476点の図解集セット⇒ 建築構造がわかる基礎用語集&図解集セット
接着系アンカーをご存じでしょうか。あと施工アンカーの1つで、既存躯体とあと施工アンカーを接着剤により接合する工法の総称です。今回は、そんな接着系アンカーの意味、材質、埋め込み長さなどについて説明します。
※あと施工アンカーについては、下記が参考になります。
100円から読める!ネット不要!印刷しても読みやすいPDF記事はこちら⇒ いつでもどこでも読める!広告無し!建築学生が学ぶ構造力学のPDF版の学習記事
前述したように接着系アンカーは、既存躯体に孔を空け接着剤を詰めます。そこにアンカー筋を差し込んで、躯体とアンカー筋を一体にする工法です。
下図をみてください。接着系アンカーの断面図ですが、躯体に孔を空けて樹脂カプセルを埋め込みます。次にアンカー筋を打撃、回転させ、カプセルごとアンカー筋を埋め込みます。カプセル内の樹脂が孔に溢れてアンカー筋と一体になります。
接着系アンカーには、回転・打撃式と打ち込み式があります。両者とも躯体に空けた孔にカプセルを埋め込みます。回転・打撃式に用いるアンカー筋は、先端部を片側斜め45度にカットし、アンカー筋に回転と打撃を加えアンカー筋を差し込みます。
打ち込み式に用いるアンカー筋は先端部を平先寸切り状として、ハンマーにより打撃して、接着剤と固着させる方法です。
工法により分類すると、主に2つです。
1つはカプセル型、2つめは注入型です。
カプセル型は前述した方法です。
注入型は、接着剤を孔に注入する工法です。
また、カプセル型には樹脂の有機系、無機系による違いがあります。
注入型は、接着剤の現場調合式とカートリッジ式の2つがあります。
下表をみてください。接着系アンカー筋の材質を示しました。
| JIS規格番号 | 規格名称 | 種類の記号の例 |
| G3112 | 鉄筋コンクリート用棒鋼 | SD295A SD345 |
アンカー筋は一般の異形鉄筋が用いられ、SD295AとSD345です。
下表をみてください。これは接着系アンカーの埋め込み長さを示しています。
| アンカー筋 | |||
| 呼び径 da | 埋込み深さ L | 増設壁への有効定着長さ Ln | 有効埋込み深さ 全長 |
| D13 | 8da以上 | RC壁補強の場合 20da以上(ナット付き) 30da以上(ナットなし) ブレース補強の場合 6da以上(ナット付き) | 有効埋込み深さ(le) le=L-da 全長 ld=L+Ln+ナット高さ(ナット付きの場合) |
| D16 | |||
| D19 | |||
| D22 | |||
有効埋め込み長さは、埋め込み長さからアンカー筋の呼び径を引いた値です。有効長さが満足するように注意しましょう。
混同しやすい用語
接着系アンカー(カプセル型・注入型)
既存躯体の孔に接着剤(樹脂カプセルまたは注入剤)を充填し、アンカー筋と躯体を一体化する工法。
金属系アンカー(拡張型)と混同しやすいが、接着系は接着剤による固定、金属系は機械的な拡張による固定という点で異なる。
金属系アンカー(拡張型)
既存躯体の孔にアンカーを打ち込み、楔(くさび)やスリーブの拡張により固定するあと施工アンカー。
接着系アンカーとの違いは固定原理(接着 vs 拡張)で、耐震補強のRC壁増設では接着系が多用される点を覚える。
今回は接着系アンカーについて説明しました。接着系アンカーの仕組みを理解できたと思います。接着系アンカーの詳しい仕組みよりも、接着系アンカーがどういうものか理解できればOKです。金属系アンカーは下記が参考になります。
【管理人おすすめ!】セットで3割もお得!約1,100語の用語集+476点の図解集セット⇒ 建築構造がわかる基礎用語集&図解集セット
接着系アンカーとは何か。金属系(拡張型)アンカーとの違いは?
既存躯体に孔を空け接着剤(樹脂カプセルまたは注入剤)を充填し、アンカー筋と躯体を一体化するあと施工アンカー工法。金属系が楔・スリーブの機械的拡張で固定するのに対し、接着系は接着剤で固定する点が異なる。
接着系アンカーの工法による分類は?
カプセル型(孔に樹脂カプセルを埋め込む)と注入型(接着剤を孔に注入する)の2つ。カプセル型には有機系・無機系、注入型には現場調合式・カートリッジ式がある。
接着系アンカー筋の材質と、有効埋込み深さの式は?
一般の異形鉄筋でSD295A・SD345が用いられる(根拠:JIS G3112 鉄筋コンクリート用棒鋼)。有効埋込み深さはle=L-da(Lは埋込み深さ、daはアンカー筋の呼び径)。
