この記事の要点
スラブは、RCでつくられた床です。
スラブは居住性に最も関係する構造部材なので、たわみや応力に注意して設計します。
【管理人おすすめ!】セットで3割もお得!約1,100語の用語集+476点の図解集セット⇒ 建築構造がわかる基礎用語集&図解集セット
スラブは、RCでつくられた床です。スラブは居住性に最も関係する構造部材なので、たわみや応力に注意して設計します。今回はスラブの設計方法、辺長比の関係、集中荷重の検討、スラブの応力とたわみについて説明します。※スラブの意味、スラブのたわみは下記の記事が参考になります。
スラブとは?現役設計者が教える意味、特徴、役割、屋根スラブ、土間
100円から読める!ネット不要!印刷しても読みやすいPDF記事はこちら⇒ いつでもどこでも読める!広告無し!建築学生が学ぶ構造力学のPDF版の学習記事
スラブの設計は、下記の検討を行います。
スラブ厚の確認
スラブのたわみの算定、確認
スラブの短辺、長辺方向の上端筋、下端筋の算定
なおスラブの意味、特徴は下記が参考になります。
スラブとは?現役設計者が教える意味、特徴、役割、屋根スラブ、土間
上記の検討を、それぞれ説明しますね。
スラブは最小厚みが規定されます。現在の建築物では150mmが一般的で、荷重が大きくならない限り問題になりません。スラブ厚さは下式で算定される以上の値とします。
t=0.02×{(λ-0.7)/(λ―0.6)}×(1+wp/10+lx/10000)×lx
tはスラブ厚、λは辺長比(ly÷lx)、wpは積載荷重と仕上げ荷重の和(kN/㎡)、lxは短辺方向の有効スパンです。
Wpおよびlxという記号に注目してください。スラブ厚は
・荷重が大きいほど
・短辺の有効スパンが長いほど
大きくなります。現在一般的に使われるスラブ厚は150mmです。スラブ厚については、下記の記事も参考になります。
スラブ厚とは?1分でわかる意味、規準、かぶり厚、調べ方、マンション
なお片持ちスラブは下式で、最小スラブ厚を計算します。
t=lx/10
片持ちスラブの長さが2000mmなら、最小スラブ厚は200mmです。
今回は周辺固定版のスラブのたわみについて説明します。スラブのたわみは、単位幅の梁がx、y方向にあると考え計算します。例えばx方向のスラブたわみは、
δx=Wx×Lx^4/384EI
です。Wxはx方向の梁に分配される荷重で、下式で計算します。
よってスラブのたわみは、短辺と長辺の長さで変わります。手計算の場合、上式の計算は面倒なので計算図表を用います。※構造計算の実務では、計算ソフトを用います。
※スラブのたわみは、下記も参考になります。
上記により算出した、たわみはクリープを考慮し所定の割増係数を掛けます。※クリープの意味は下記の記事を参考。
コンクリートのクリープってなに?その原因と、変形増大係数の関係
割増係数を変形増大係数といいます。スラブは時間の経過と共に、変形が大きくなります。これをあらかじめ、割増係数をかけて考慮するのです。※変形増大係数の意味は、下記の記事が参考になります。
変形増大係数とは?1分でわかる意味、木造、コンクリート、鉄骨の値
あとは、スラブのたわみが許容値に納まっているか確認します。許容たわみは、
Lx/250以下(鉄骨造ではLx/300以下など)
とします。
スラブには短辺、長辺方向の端部、中央に応力が生じます。たわみの算定と同様に、単位幅の梁と考えて応力を算定します。両端固定梁の応力は下記です。
端部 M=wL^2/12
中央 M=wL^2/24
※両端固定梁の応力は、下記が参考になります。
両端固定梁とは?1分でわかる意味、曲げモーメント、たわみ、解き方
上式が理論式ですが、スラブの固定度が落ちることを考えて、中央部の曲げモーメントは4/3倍割増されます。またlx=lyのとき、長辺方向の曲げモーメントは、短辺方向の半分の値です(荷重が半分になるので)。よって、スラブの応力は下記です。
長辺端部 M=wLx^2/12
長辺中央 M=wLx^2/18
短辺端部 M=wLx^2/24
短辺中央 M=wLx^2/36
上式で算定した応力を用いて、引張鉄筋を算定します。引張鉄筋は下式で計算します。
At=M/ftj
Mは曲げモーメント、ftは鉄筋の許容応力度、jはスラブの応力中心間距離です(7d/8)。※鉄筋コンクリート部材の断面算定は下記の記事も参考になります。
スラブの引張鉄筋断面積atは「単位幅当たり」の値です。1000mmの幅の間に必要な鉄筋量ですね。よって、必要鉄筋量はD13@200のように書きます。スラブの配筋は、下記の記事が参考になります。
スラブとは?現役設計者が教える意味、特徴、役割、屋根スラブ、土間
スラブを設計する際の荷重は、長期荷重を用います。この長期荷重はTL(トータルロード)で、TL=DL(自重)+LL(積載荷重)です。自重は、仕上げ荷重とRCスラブの厚みです。
例えば、床厚が150ならw=150x24/1000=3.6kN/㎡です。仕上げ荷重は0.6 kN/㎡見込んでおきます。※固定荷重は下記の記事が参考になります。
積載荷重は、意匠的に使う用途によって、建築基準法で定められている値を使います。居住用なら1.8kN/㎡です。この場合、TL=4.2(3.6+0.6)+1.8=6.0です。※積載荷重は下記の記事参考。
スラブは短辺と長辺の長さで、応力やたわみの大きさが変わります。これは「辺長比λ(ly÷lx)」との関係で表します。
スラブに集中荷重が作用する場合の計算は、鉄筋コンクリート構造計算規準p.101(2015年版)に明記があります。
スラブを設計するとき支持条件に注意します。RC造ならほとんど四辺固定版です。床スラブが大梁や小梁に囲まれていて、一体化されているからです。
一方、S造にスラブを使う場合は、固定端とみなせない箇所があります。鉄骨梁とRC床の接続が固定端と呼べるほど一体化していないからです。この部分はピン支点として計算します。
※スラブの支持条件は、下記が参考になります。
スラブを設計するとき設計用寸法に悩みます。設計者や物件ごとに変わりますが、『内法寸法』が正しい値です。但し、柱間スパンでざっくり計算しても、それは大きなスラブを計算したことになるので安全側の検討です。
スラブの設計に用いる寸法を、有効スパンといいます。有効スパン、内法寸法の意味は下記の記事が参考になります。
有効スパンとは?1分でわかる意味、スラブ厚、たわみ制限、片持ちスラブ
内法とは?1分でわかる意味、読み方、内法面積、窓、壁芯との関係
混同しやすい用語
ひずみ
ひずみは断面内の変形の割合で、たわみは部材全体の変位量です。両者は関連しますが、使う式と意味が異なります。
変位
変位は構造物全体の位置変化を指し、たわみは梁などの部材が曲がる方向(鉛直)の変位です。
根拠・参考
実務では、設計条件・仕様書・適用する規準により確認してください。
スラブの設計を整理した表を示します。
| 項目 | 内容 | 備考 |
|---|---|---|
| スラブ厚の確認 | 最小スラブ厚を計算式で算定する | 一般的に150mm以上 |
| たわみの算定 | δx=Wx×Lx^4/384EIで計算し許容値と比較 | 許容たわみLx/250以下 |
| 引張鉄筋の算定 | At=M/ftjで短辺・長辺方向の鉄筋量を算定 | 上端筋・下端筋を区別する |
今回はスラブの設計について説明しました。設計方法など理解頂けたと思います。スラブの応力、たわみも基本的な計算は、梁と同じです。下記の記事など、併せて勉強しましょう。
スラブとは?現役設計者が教える意味、特徴、役割、屋根スラブ、土間
両端固定梁とは?1分でわかる意味、曲げモーメント、たわみ、解き方
【管理人おすすめ!】セットで3割もお得!約1,100語の用語集+476点の図解集セット⇒ 建築構造がわかる基礎用語集&図解集セット
この記事の内容を○×クイズで確認する
この記事で学んだ内容は、無料の○×問題集でも確認できます。
意味を読んで終わりにせず、実際に理解できているかチェックしてみましょう。

試験での問われ方|管理人の一言
スラブの設計に関する問題は建築士試験の構造分野で出題されます。定義と計算の両面から理解しておきましょう。
試験ではたわみの公式・許容たわみ(L/300程度)・梁の支持条件との関係が問われます。
スパンの影響が大きい(L⁴に比例)点を押さえ、断面二次モーメントや弾性係数との関係から定性的に理解しましょう。